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優勝賞品は「マグロ丸ごと1匹」!! このユニークな市民将棋大会を巡って起った騒動のまとめサイトです。 (更新終了済)LPSAによる 「対局ボイコット事件」もまとめました。右の「カテゴリ」から「対局ボイコット事件」を選んでご覧ください。
2016年10月20日 (木) | Edit |
10月19日
文春中づり広告で

羽生「限りなく黒に近い灰色」

という見出しがあったようです。
これに対し、羽生三冠は、妻のツイッターアカウントを通じ、

①こんばんは。突然にお騒がさせてしまい申し訳ありません。本日、一部報道で誤解を招くような表現がありましたのでこの場をお借りして説明をさせて頂きます。まず、灰色に近いと発言をしたのは事実です。
②そして、今回の件は白の証明も黒の証明も難しいと考えています。疑わしきは罰せずが大原則と思っていますので誤解無きようにお願いを致します。

とツイートしています。

 「疑わしきは罰せず」は、推定無罪と表裏一体ですが、

裁判官の立場を表したもの
・刑事訴訟法のもの(挙証責任の範囲と密接な関係を持つ

であり、それ以上の意味はないことが、忘れられがちです。
 すなわち「裁判官の立場を表した」ものという意味から、

・被告(疑われた者)側の嫌疑を晴らす性格のものではなく
・原告(疑った者)を罰するものでも無く
・疑いを今後一切持つな!と他人に強制するようなものでもない

と言え、また刑事訴訟法(挙証責任)の点から、

全ての法的判断の原則ではない
・拡張して使うのは極めて危険

と言うことが大切です。
 具体例でいうと、

・公害法や製造物責任者法

では、挙証責任は被告の企業側にあり、「推定有罪が原則」です。これらで「疑わしきは罰せず」を適用すれば、専門的知識を持たない原告である一市民が勝つことは不可能でしょう。
 また、刑事でも今回の事件に近い例で言うと、

・被告から覚せい剤を反応が出た。
・「知らないうちに飲まされた。」と無罪を主張

とした場合、「知らないうちに飲まされた。」部分は被告側に合理的な説明が求められます
 さらに、

政治家の汚職事件

では、推定無罪が強力に働き過ぎて、摘発が困難になっている弊害もあります。
そのため、「政治資金規正法」など、特別法での対応が必要となっています。

これらのことから、

目的や現実に合った法や原則

が、なにより必要で、

「疑わしきは罰せず」は、その選択肢の中の一つに過ぎない

ことを理解することが重要です。「疑わしきは罰せず」は正義、「推定有罪」は悪、と云った誤った先入観が多く、議論の妨げになっていることが危惧されます。
 よって、ネット上で氾濫している(羽生三冠もですが)

・「疑わしきは罰せず」だから白
直接証拠がないから白
・状況証拠だけだから処分は不当だ

は、

いずれも正しくない

と言えます。

羽生三冠が「疑わしきは罰せず」を表明したことで、将棋連盟が何の疑問もなしに、今後もこれを採用することを恐れています。
カンニングは、

・発見が極めて難しくその立証も極めて困難な割に
容易に実行でき、(ソフトの進化で)効果も絶大

という性質のものです。
上記の例でいえば、公害や政治家の汚職摘発以上に防ぎ処罰するのが困難です。
すなわち、

「疑わしきは罰せず」=実質「対局でのソフト使用を容認」

となってしまいます。

 対策と言えば、携帯禁止や荷物検査などに目が行きがちですが、一番大切なのは「制度設計とその思想」です。
 「衛星はやぶさのように何重もの対策をすべき!」という意見の方が、日本では受けがいいのも現実です。
 しかし今年2月に打ち上げられた最新の天文衛星「ひとみ」は、はやぶさ以上の安全対策をほどこしたにも関わらず、わずか2か月でバラバラに分解し宇宙のゴミとなりました。
 その原因は、「数字のプラスとマイナスを入力間違えた」というお粗末なものです。機械を過信し運用面を軽視した結果です。
 
 将棋連盟には、

棋士に優しい「疑わしきは罰せず」ではなく、棋士に厳しい「推定有罪」的な思想をもって「制度設計」

をし、運用面もおろそかにしない対策を望みたいと思います。


2016年10月20日 (木) | Edit |
文春買いました。
これまでは、翌週次号が発売してから引用するようにしてきましたが、どうしても書きたかったので勘弁してください。なお、時系列に沿って引用しますが、それ以外の取材もボリュームがあるので、是非お買い求めください。

では、改めて事件の時系列に沿って、見ていきたいと思います。
まず事件の発端は、

7月26日の久保対三浦戦
・「従来と違って、非常に離席回数が多かった。」(久保九段)
・「証拠はない。”やられたな”という感覚はあった。」(久保九段)

と、久保九段が一番最初に疑念を感じたようです。
 久保九段は、対局後、知人と共に一致率や離席後の手を検証、疑念が確信に近くなり、行動を起こすことにした。
 9月26日定例の棋士会で、久保九段が、

「電子機器の持ち込み禁止」など提案した

ところ、

すぐに三浦九段が挙手
・「持ち込み禁止は賛成。でも私はやってません。」

と発言している。
 ちなみに久保九段は、「三浦九段の名前は一度も出したことはありません」としており、三浦九段が、どういう意図でこの発言をしたかは不明。

 次に事件が動いたのが、10月3日の三浦対渡辺戦。
 ネット中継されたこの対局を

・一部の棋士がリアルタイムでソフトで検証していた。
・驚き呆れるほど三浦の指し手は、ソフトと一致。
・この日も三浦九段は、30分に1度は離席

していたことから、検証していた棋士は「これは渡辺さん、やられたな」とつぶやいたそうです。

そのことを指摘された渡辺竜王は、自分でも自宅で確認。

「感想戦で三浦さんが話した読み筋が、そのままソフトの読み筋だった事もわかりました。」(渡辺竜王)

その後、渡辺竜王は、過去の三浦九段の対局を調べ尽くし、

・一致率の高さ(だけで)は関係ない。
・「一致率が40%でも急所の勘どころでカンニングすれは勝てる。一致率やタイミングを見れば、(カンニングは)プロなら分かるんです。」
・「これは間違いなく”クロ”だ」

と述べています。
 ネットでは、一致率の高さ=カンニングという安易な説が目につきますが、さすがにトップ棋士は冷静に見ています。

 ここから渡辺竜王は、

1週間後には竜王戦が始まる
・だが(直接)証拠はない

と悩みます。そして、

「竜王戦が始まってから疑惑が公になれば、シリーズは中断される可能性が高いと考えました。それだけでなく、タイトル戦を開催する各新聞社が“不正”を理由にスポンサー料の引き下げや、タイトル戦の中止を決めたら連盟自体の存続さえも危うくなると思ったのです。そんななかで最悪のシナリオは『疑惑を知りながら隠していたという事が発覚する事だ』と判断しました。」

と最終的に判断、内部告発を決めたそうです。

 今回の事件で一番嬉しかったのがこの部分でした。ようやく、危機管理の原則が分かってくれる棋士が見つかりました。
 目先ではなく

最悪のシナリオを想定して対処すること

が、被害を最小限に抑える第一歩です。
 これまでの将棋連盟は、

「ばれなきゃ逃げ切れる。」を基本原則

に行動してきました。マグロ事件は逃げ切れましたが、ボイコット事件では妥協に追い込まれました。
 今回もし渡辺竜王が決断していなければ、凄まじいダメージを受ける事になっていたでしょう。

次に続けます。

2016年10月21日 (金) | Edit |
最悪のシナリオを回避すべく、告発を決意した渡辺竜王。
10月7日、将棋連盟理事の島九段に電話を入れます。

「緊迫した声で”羽生さんと佐藤康光さんに会いたい。”」(島理事)

という内容でした。
 佐藤康光九段は、現在棋士会の会長です。
 この要請を受け、10月10日午後7時30分、島理事の自宅において、渡辺竜王、羽生三冠、佐藤康光棋士会長に加え、谷川将棋連盟会長、佐藤天彦名人、ソフトに精通する若手千田翔太五段が集まり、極秘会合が開かれました
 錚々たる大御所に囲まれ、千田五段が、リアル課長島耕作状態になっているのが目を引きます。
 会合では、渡辺竜王が

久保・三浦戦(噂の発端)
竜王戦挑戦者決定戦第2局と第3局(三浦丸山戦)
三浦・渡辺戦(告発の発端)

の4局を説明。
 説明した内容は、

・指し手や離席のタイミング
・動画での感想戦の様子
・ソフトの読み筋
・三浦九段の「離席メモ」など詳細なデータ

を示しながら行ったようです。
 また噂の発端となった久保九段も電話で一部参加したそうです。
 この中で、特に、

「感想戦での読み筋までソフトと一致」

が出席者の興味を引いたようです。
 その結果、「シロを主張する棋士は誰もいなかった」そうです。
 そして、三浦九段のヒアリングを行うことを決定し、三浦九段に通告した。
 その際、三浦九段から

「それなら渡辺竜王も同席するように言ってください。」

と申し出があったようです。

 さらに、マスコミ関係者からの情報で、「三枚堂四段が三浦九段からスマホでパソコンを遠隔操作する方法を教えて欲しい、と依頼された。」という情報が入り、確認をとったところ、

「はい。私が三浦さんにお話したのは、そういうアプリ自体の存在です。スマートファンでパソコンをリモート操作することが出来るアプリです。」
「TeamViewer」というアプリです。(三枚堂四段)

とこれも確認がとれたようです。

これまでの連盟の発表や三浦九段の反論から、

・連盟は、ろくな調査をしていない。
・離席時間の特定さえしていない。

と酷評してきましたが、連盟案件になる前段階までは、

渡辺竜王は、きちんとやれるだけの調査をしていた。

ことが分かりました。
 特に「離席メモ」は必須であり、渡辺竜王自ら作っていた点は、大変素晴らしいことだと思います。段どりの仕方も含め短期間にこれだけ揃えるのは、正直驚きました。
 この時点までの渡辺竜王の考え方や動きは、危機管理のお手本と言ってもよいぐらいです。

 次回、この詳細な告発を受け、今度は渡辺竜王ではなく

連盟がどういう調査をしたのか。

を見ていきます。

2016年10月22日 (土) | Edit |
入念な準備をした上での渡辺竜王の内部告発。
これを受け、「連盟がどういう調査をしたのか」を見ていきます。

まず、大前提となるのが、

将棋連盟は、中立の立場である。

という点です。
渡辺竜王も三浦九段も共に日本将棋連盟の会員という立場は同じです。
ボクシングのように、相手の指名や開催地など、盤外の部分でタイトル保持者が有利な立場に立つという規定も風土慣習もありません。せいぜい「上座に座る」くらいです。

10月11日午後1時、連盟内の部屋で、連盟による三浦九段へのヒアリングが、

三浦九段と渡辺竜王、千田五段が対峙し、その周囲を連盟の理事たちが囲んだ。

形式で行われたようです。臨時「常務会」扱いとのことです。

いきなり、連盟の中立性や公平性が疑われるスタートです。
渡辺竜王からの聴取は、

渡辺竜王の希望に沿ったメンバーを集め、かつ極秘

三浦九段へのヒアリングは、

半ば公となる「常務会」形式で行われ、メンバーに渡辺竜王、千田五段までもが入っている

という、一見して分かる不公平さです。
文春記事では、「それなら渡辺竜王も同席するように言ってください。」と三浦九段の要望としてますが、そうであっても(渡辺竜王が同意したとしても)、

容疑者の取調べに被害者を同席させる

というのは、とても適切な調査とは言えません。石橋ボイコット事件で、LPSAの弁護士も同様のことを言っていましたが、あの時は調査も裁定もする立場にないスポンサーに対して言ったので失笑を買ったのです。今回は、調査も裁定する連盟が、本当にそのままをやってしまいました。
生徒のいじめ問題の調査で、学校側が、いじめられっ子といじめた側を同席させて調査すれば、どちらの側にとっても様々な問題が出るのは目にみえます。警察の犯罪捜査のみならず、類似の野球賭博や八百長やドーピング疑惑でも同様です。
今回の連盟の調査形式は、三浦九段に対して公平さを欠くのはもちろんのこと、告発者保護は一切考慮されていませんので、渡辺竜王にとっても不公平な話であるとも言えます。
告発する側と告発される側では、聴取方法が異なる部分があるのは当然ですが、そこに合理性がなければ、中立性が疑問視されることになり、いくら証拠や自白が出ても、後日、不当な調査方法による証拠収拾・自白強要として否定されることになります。

残念ながら現時点の情報では、連盟の調査であったはずのヒアリングは、

渡辺竜王個人による三浦九段への追及調査を、連盟が手助けしている形

で始まったと言わざるえません。

次回は内容について見ていきます。

2016年10月22日 (土) | Edit |
10月11日午後1時、連盟による三浦九段へのヒアリングが、告発者側と告発された側が、同席するという異様な光景の中、始まった。

渡辺竜王が

・三浦九段の指し手ばかりか感想戦のコメントさえ一致している点
・1局を通じての一致率が高い事
・離席の多さ
などを指摘
これに対し三浦九段は
「それは偶然です。」
「離席したのは疲れていたので守衛室で横になって休んでいたのです。」と一貫して否定した。

と言うやりとりで進められたようです。
 その他、記事では三浦発言の不自然さを列挙した上で、「そこまで疑われるならしばらく休場します。」(三浦九段)と言ったとしています。
その後、PCを押収、スマホの提出は拒否したという流れは、以前のままでした。

解説すると、まず処分のきっかけとなった

実際の聞き取り調査をしたのも、渡辺竜王だった

点です。単に同席しただけでなく、説明質問まで行い、文字通り、

連盟による調査ではなく、渡辺竜王による調査だった

ことが言えると思います。
 文春記事は、渡辺竜王の独占告白がメインであり、記事全体でも渡辺竜王寄りなので、「連盟調査の中立性に疑わせ三浦無罪を印象づける目的で書いた」ものではなく、むしろ逆なので、この部分は特に信用できそうです。
 もちろん、
渡辺竜王と連盟は一体
・だから連盟による調査と言っても問題ない。
・独自調査もしている。
と主張もできますが、当然これは、
・将棋連盟は中立では無く、最初から竜王とタッグを組んでいた。
・独自調査はごく一部だけ
と自ら主張していることになり、最初から三浦休場が目標だったと自ら言うようなものです。

勘違いされると困りますが、告発した渡辺竜王が強く疑惑を主張することは、何の問題もありません。
同様に、三浦九段が身の潔白を主張するのも何も悪くありません。
連盟が、両者の主張を公平中立に聞き、必要な調査をして判断を下せばいいだけです。
しかし、今回もまた連盟は「ゴタゴタは、有耶無耶にして早く終わらせたい。」という原則を最優先にし、付け焼刃の対応を選択しました。
連盟が渡辺竜王に過剰に肩入れし、中立性を欠いた名ばかりの連盟調査で三浦九段を休場に追い込んだ結果、混乱はかってないほど広がってしまい、かえって渡辺竜王まで窮地に追い込むことになりそうです。
渡辺竜王が理想的な対応をしていただけに、連盟はなぜもっと重く受け止めなかったのか残念でなりません。